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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

針が急速に、規則的に上下する。縫目がジャリ/\と送られて行く。

「ちょっと、あの人、今日、何だか変におかしかったわよ。」

「なアに?」

すゞは空虚な返事だった。

「なにか、たくらみがありそうだったわよ、あの怒ったような眼で、じろ/\家ン中や、私達を見て行っただけじゃないわ。眼と、口もとの笑い方に、恐ろしい何かがあったわよ。」

「そうかしら。」

猫のような俊は、先日からの中津の行動をいろ/\に思い起していた。恐ろしい何かの兆候が、二三日も四五日も前からあった。

「ちょっと! ちょっと!……」

俊はまた姉を呼んだ。……

支那宿の東興桟の一室には、張宗昌の退却後、変装をして市街にとゞまっている中津の仲間が集っていた。四五人だ。荒っぽい、無茶な仕事が飯より好きな連中だった。せいの低いずんぐりした唐は素手で敵の歩哨に掴みかゝって、のど笛を喰い切り、銃と剣を奪ってくるような男だった。金持の娘や、細君を、人質にかっぱらった経験は、みんなが三回や、五回は持っていた。

床篦子、卓子、机子、花模様の茶壺、旅行鞄、銀貨の山。

中津は、何回となく空想で練り直した掠奪の計画を、実行する段になって、なお、心は迷っていた。