Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
「裏からやって来る人間は咎めたって、泥棒にゃ、見て見ん振りをしていら。」
「でも泥棒の方で、ちっとは遠慮するでしょう。」
母は恐怖を取りつくろった。
「馬鹿云っちゃいけねえ。あんな奴が居たっていなくたって、同じこったくらい泥棒はちゃんと心得ていますよ。経験で。」
巡警は、人が出入をするのは、暗くて見分けのつかない夜間だと睨んでいた。昼間は立たなかった。ところが、商売は昼間のうちにすんじまった。
宵から、夜ふけまで夜ッぴて立ちつくして、獲物は一匹もあがらなかった。しかし、獲物があがらないということは巡警の疑念を晴らす足しにはちっともならなかった。
昼間、竹三郎は、天秤と、乳鉢と乳棒を出して仕事をした。昼間なら安心していられた。第三号に、いろ/\なものをまぜて、丸子を作る。匙を持つ手は、ヘロ中の結果、ニコチン中毒のひどい奴より、もっとひどくブル/\ふるえた。手と同時に、椅子にかけた脚もブル/\ふるえていた。隣家の、観音開きの戸口からは、馬貫之の細君が、歯がすえるヴァイオリンのような歌を唄うのがひびいてきた。
慄える手に握られた彼の乳棒も、歯をすやすように、がじがじと気味悪く乳鉢の面にすれていた。