Japanische Klassiker mit Furigana
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しけんといきなわ
死剣と生縄
江見 水蔭
Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme
私には大師匠夫婦が生の親も同然。お神さんの方は先年死亡なりまして、今では大師匠一人なんですが、今の師匠の虎松は、実子で有りながら、どうも邪慳で、ちっとも大師匠の面倒を見ませんので、私は猶更気の毒で成りません。夢見の悪さがつづくので、江戸へ見舞に帰るとしても、そんな事で私を手放すような虎松では御座いませんから、私は密と抜け出して来たので御座います。江戸崎の興行先からでは、此方へ廻っては道が損かも知れませんが、行方を晦ますのに都合が好いものですから」
この小虎の物語で、すべての疑問が解けたので有った。頭髪と扮装との不調和も、芸人の脱走としては、有り得る事と点頭れた。
「や、拙者も同じく剣道の師匠の身の上を案じてだ。兎に角互いに急ごう。秋の日は釣瓶落しとやら。暮れるに早いで、責めて布川から布佐への本利根の渡しだけは、明るい間に越して置きたい」
「此辺は水場で、沼とか、川とか、堀割とか、どちらへ行っても水地ばかり、本利根へ掛る前に、未だ新利根の渡しも御座います」
「おう、新利根の渡しは、もう直きだなあ」
寛文年間に、蚕飼川から平須沼へ掛けて、新たに五十間幅に掘割られた新利根川。