Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Lesen Sie 死剣と生縄 (しけんといきなわ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.104 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

忽ち手繰り船の親杭の上に攀じ登った。

「気を着けないと危いよ」と、下から竜次郎は声を掛けた。

「大丈夫で御座いますよ」と小虎は云いつつ颯と紺蛇の目の雨傘を開いた。それと同時に腰巻の唐縮緬から、血の飛沫が八方へ散ったと見たのは、今まで藤蔓に止まっていた赤蜻蛉が、驚いて逃げたので有った。

名は新利根でも、五十間の堀割。手繰り渡しの藤蔓を綱渡りの足取りで越すので有った。それは実に見事なもので、大道を普通の人が歩くのと異らなかった。

折柄の夕陽は横斜に小虎の半身を赤々と照らした。それが流れの鈍い水の面にも写るので有った。上にも小虎、下にも小虎、一人が二人に割れて見えた。垢染みた浴衣の扮装も、斯うすると光輝を放って見えるので有った。況してや舞台好みの文金高島田、化粧をした顔の美艶、竜次郎は恍惚たらざるを得なかった。もう途中で落ちはせぬかという懸念は無く成ったが、あの儘自分だけで渡り終って、先を急ぐとて独で行って了いはせぬか。それが気遣われるばかりで有った。

やがて其半途まで綱渡りを進めた。両岸からは如何に高く藤蔓を張っても、其中心に当る点は、自然々々にたるみが出来て水面近く垂れているので有った。