Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme

Aozora Bunko

驚くばかりであった。娯しみを失いきった語部の古婆は、もう飯を喰べても、味は失うてしまった。水を飲んでも、口をついて、独り語りが囈語のように出るばかりになった。

秋深くなるにつれて、衰えの、目立って来た姥は、知る限りの物語りを、喋りつづけて死のう、と言う腹をきめた。そうして、郎女の耳に近い処をところをと覓めて、さまよい歩くようになった。

郎女は、奈良の家に送られたことのある、大唐の彩色の数々を思い出した。其を思いついたのは、夜であった。今から、横佩墻内へ馳けつけて、彩色を持って還れ、と命ぜられたのは、女の中に、唯一人残って居た長老である。ついしか、こんな言いつけをしたことのない郎女の、性急な命令に驚いて、女たちは復、何か事の起るのではないか、とおどおどして居た。だが、身狭乳母の計いで、長老は渋々、夜道を、奈良へ向って急いだ。

あくる日、絵具の届けられた時、姫の声ははなやいで、興奮りかに響いた。

女たちの噂した所の、袈裟で謂えば、五十条の大衣とも言うべき、藕糸の上帛の上に、郎女の目はじっとすわって居た。やがて筆は、愉しげにとり上げられた。線描きなしに、うちつけに絵具を塗り進めた。