Japanische Klassiker mit Furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lesen Sie 死者の書 (ししゃのしょ) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.340 Zeichen · 126 Bildschirme
其から見れば、ひとまわりも若いおれなどは、思い出にもう一度、此匂やかな貌花を、垣内の坪苑に移せぬ限りはない。こんな当時の男が、皆持った心おどりに、はなやいだ、明るい気がした。
だが併し、あの郎女は、藤原四家の系統で一番、神さびたたちを持って生れた、と謂われる娘御である。今、枚岡の御神に仕えて居る斎き姫の罷める時が来ると、あの嬢子が替って立つ筈だ。其で、貴い所からのお召しにも応じかねて居るのだ。……結局、誰も彼も、あきらめねばならぬ時が来るのだ。神の物は、神の物――。横佩家の娘御は、神の手に落ちつくのだろう。
ほのかな感傷が、家持の心を浄めて過ぎた。おれは、どうもあきらめが、よ過ぎる。十を出たばかりの幼さで、母は死に、父は疾んで居る太宰府へ降って、夙くから、海の彼方の作り物語りや、唐詩のおかしさを知り初めたのが、病みつきになったのだ。死んだ父も、そうした物は、或は、おれよりも嗜きだったかも知れぬほどだが、もっと物に執著が深かった。現に、大伴の家の行く末の事なども、父はあれまで、心を悩まして居た。おれも考えれば、たまらなくなって来る。其で、氏人を集めて喩したり、歌を作って訓諭して見たりする。