Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
Lesen Sie 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.326 Zeichen · 330 Bildschirme
「安達さん、書き込むんですよ。書き込むんです」
と弼君は書く手真似をして逃げて行った。
安達君は成程と思った。こんな気の利かないことでは覚束ないと少し慌てゝ、早速書き込みに着手した。初めの方は機械的だったけれど、十年後の見込からは作文の試験の心得になった。仮設の配偶者というのは無論佳子さんのことだ。それとの相識関係とそれに関する感想には特別念を入れた。漸く書き終って読み直しているところへ、閣下と奥さんが入って来た。
「やあ。これは態何うも」
と閣下が一揖した。外では時々顔を合せるけれど、言葉を交すのは初めてだった。安達君は鄭重に挨拶を申述べた。
「何うぞおかけ下さいませ」
と奥さんが寛がせてくれる。
閣下は書類を手に取って、至って事務的に目を通し始めた。
「酒量ナミというのは何合ぐらいの標準ですかな?」
「ナミじゃありません。ナシです。字が拙いものですから……」
「はゝあ。量ナシですか? 量を知らずというと、これは大変だ」
「いや、飲まないんでございます」
「ハッハヽヽ」
と閣下は諢ったのだった。
「実は会なぞで友達に勧められますと、少しやるんですけれど、先頃からやめる決心をしています。