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Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

Lesen Sie 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.326 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、閣下の前へ出ると頭が上りません」

と瀬戸君は流石に謙遜の態度を忘れなかった。

「何うせ時折の御説法は免かれません。毎日お宅へ伺うんですか?」

「はあ」

「始めると長いでしょう? 閣下は」

「お説法ですか?」

「えゝ、名人ですよ。理窟のないところへ理窟をつけます。私なぞはこの年になっても、頭から叱りつけられます」

と言って、長倉さんは覚えず髭へ手をやった。身に沁みているのらしい。

「矢張り軍隊にいられた頃の癖が残っているんでしょう」

「然うですよ。大将ですから、有らゆる人間を部下と思っているんです。取っ捉まると面倒ですから、滅多に伺いません。何とか言ってはいらっしゃいませんでしたか?」

「いや、一向」

「実はこの前、一寸諢ったものですから、喧嘩別れの形になったんです。初め閣下は明治四十年に買ったという万年筆を出してお見せになりました。実は以前にも一度拝見したことがあるんですけれど、折角ですから黙っていました。『俺は明治四十年以来この万年筆を使っている。品物も情が移ると捨て難い』という御感想でしたから、相槌を打っていましたら、君は何故髭を剃ったかとお訊きになりました」