Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
Lesen Sie 法窓夜話 (ほうそうやわ) von 穂積 陳重 (ほづみのぶしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.325 Zeichen · 264 Bildschirme
もとよりソクラテス自らは決して一世の指導者をもって敢えて自任していた訳ではない。ただ人々と共に真善の何ものなるかを知ろうと欲したのであった。しかしながら、彼の真意を了解しない大多数の俗衆は、かえってソクラテスのために、各自の自負心を傷つけられたものと考え、これがために彼に対して怨を抱くこととなったが、終に或機会をもって、彼は新宗教を輸入唱導して国教を顛覆し、且つまた詭弁を弄して青年の思想を惑乱する者である、という事を訴えることとなった。
かくてメレートスやアヌトスなどの詐言のために、とやかくといろいろ瞞着された結果、種々の裁判の末に、我大聖ソクラテスは遂に死刑を宣告せられることとなった。
さて、いよいよ死刑が執行されるという日の前日になって、ソクラテスの門弟の一人なるクリトーンはソクラテスに面会して、この不正なる刑罰を免れるために脱獄を勧めようと思って、早朝その獄舎に訪ねて来た。来て見たところが、ソクラテスは、さも心地よさそうに安眠しておったのである。クリトーンは、師がその死期の刻々に近づきつつあるにもかかわらず、かく平然自若たるを見て如何にも感嘆の情を禁めることが出来なかったが、やがてソクラテスの眠より覚めるのを俟って、脱獄を勧めた。