Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
と憂えるのだ。公徳欠乏の悪い結果はこの戦争の最中にも現れてくる。満州のような寒い所で、これからいよいよ寒気が厳しくなり兵隊が凍え死ぬばかりになって辛苦するという場合なのに、内地の将校のなかには腐った奴もいる、御用商人も腐っている、奴等が臭い、蔭でどんな悪事がたくまれているか、悪い予言はしたくないが、わしには目に見える気がする」
正造はしみのある壁の方に目をすえてしばし黙然としていたがまた続けた。「だから、諸君のような新しい頭の若い人たちにしっかりやって貰わねばならぬ。諸君に願うことはこの世の中に、きれいな旗、正しい旗を立ててもらうことだ。その旗印のもとに集って若い人たちが互に精神の改良に骨を折ってもらわねばならぬ。それでないと戦に勝っても日本は国の維持がおぼつかない」
そこまでいうと正造は、これで安堵したという顔付になって、
「やア、今夜は実に愉快だ。ひとつまた詩を吟じよう」という言葉の下からさびのあるこえで――手を翻せば雲と作り手を覆せば雨、紛々たる軽薄何ぞ数うるを須いん――と杜甫の貧交行をうなりだした。
終って「さて、飯にしようか」と正造は自分でたって縁側から土鍋を運んできた。