Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
――こうだ。愚直な彼等が欺かれて金をとって、祖先伝来の田畑を荒亡されて、この汚名だ」
正造は沈痛な表情になり、袴のひだの上で木の瘤のような手をうごかしていたが、
「今年の正月のいく日だったか、なんでも暮の三十日に解散があって間もなくのことだ。選挙の準備といってもまるきり運動費のあてがない、ひどい貧窮で帰郷しようにもうごくことができない。川上保太郎と膝をつき合せてどうしたものだろうと思案なげ首でいると、そこへわしにといって一対の金包を届けた奴がある。川上が玄関からそれを持って来てどうしましょうというから、わしは断然突ッ返させた。あとで川上が残念そうに、なぜ受取らなかったかと追求するから、不潔な金は受取れぬじゃないか、檜山を訪ねれば金の出所もわかるだろうといっておいたが」
「檜山六三郎から届けてきたのですか」
「川上が檜山に会ったら、田中さんは軍費を調達されたはずだといっとったそうだ。古河の細工はそんな工合だ」
「それで中傷の根拠がわかりました。買収に失敗したので逆に流言を放ったのですね」
正造はそれには答えず、黙って床の間へ眼をやった。
――家を毀ち人を傷け火を放ち、民の煙はいかに立つらん。