Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
当寺の住職黒崎禅翁が馬の尻尾のような白毛の払子をもって出てきた。袈裟衣を身にまとって脱俗の装いはしているが、まだ漸く二十七歳の胸にひめた覇気をおおいつくせぬ面構えである。人々がなにごとがはじまるかと怪しんでいると、やがて一同の前に突立って、読経の臭味のある太声を張りあげた。住職が鉱毒問題に理解のあることは、こうして会場を提供していることによっても明かだが、突然、演説をはじめたのは意外である。人々はなかば好奇の顔付で、なかば当惑したように顔を見合せて聞いていた。そのうちに小林偵七郎が傍へはいってなにごとか注意すると、彼は「それでは……」と、あっさり一礼して、従容とした足どりで庫裡の方へ退いた。
まず小林偵七郎が推されて座長席についた。正造が挨拶に立って、今日ここに沿岸有志の精神が一致した証を見るに至ったのは、誠に頼母しいかぎりであると述べ、
「けれども諸君」と、調子を改めた。「とかく大勢の人が歩調をそろえて、長く運動をつづけてゆくということは極めて至難なことであります。故にわれわれの目的を貫徹するには、総代とか委員とかいう者を撰ぶのも悪くないが、寧ろ自ら進んで事に当ろうという熱誠の人々の一致協力に待たねばならぬ。