Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

各所に点々と見えていた大饅頭が、いよいよおびただしく塁々とながめられた。

「どうですか、この毒塚は。さながら奥州の松島です」と正造は指さし「松島の島なら真冬でも青々していますが、この毒塚は真夏でも青色なしです」

「毒塚や、ああ毒塚や毒塚や」芭蕉の絶吟をもじって山田が叫んだ。

「県庁の役人どもはいわゆる深耕法というのを非常に力を入れて講釈するそうだが、うわ面の毒土を掻きよせただけでこの有様です。この広大な被害地を二尺も三尺も掘り返せるものかどうか、自分で鍬をふるってみればわかる。机上の空論もいいかげんにするがいい。馬鹿野郎どもが」

最後は仇敵を目の前にしているような叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)だった。人々は車上に頸をすくめつつ思わず顔を見合せた。

支流の矢場川をわたって渡瀬村に入れば、ここもまた塁々たる毒塚で、吹きつのってきた西風に塚という塚から砂塵のまいたつさまも凄じく、人々は辟易して口をおおい帽子を目深にして息を詰めた。やがて暮色も迫って下早川田にかかろうとするとき、

「ああ、あの荷車をごらんなさい」正造がまた行手を指さしつつ車上にふり返った。