Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
昼飯の支度などとは思いもよらぬことである」
これを総代がそのまま伝えたから一同は大いに激昂して騒ぎだした。それまで砂利のうえに胡坐をかいて煙管を銜えていた者まで、立って口々に罵りだした。疲労と空腹が彼等の怒りを一層荒々しくした。一歩ことを誤ればどんな混乱に陥るか図りしれない殺気が漲った。警官もおいおいと数を増し、警視庁からも十数名の応援が来て、ようやく危機一髪の線をささえている有様であった。一時は春めいて暖かだった午後の日差しも薄れて、人々の背にうつる枯木の影もさむざむとして来た。しかし時がすぎても誰一人立ち去る様子もなく、警官と総代たちのあいだには絶えず押し問答がくりかえされた。「いったいお前たちはどうするつもりか。五日には大臣が面会されるというのだろう、そう意地張ることもないではないか。こんな所では野宿も出来なかろう」
と警官も困り果てた様子だった。
「いいえ、私たちは死を覚悟して出て来たのです。もちろん路銀の余裕はないし、ここを立ち退いたところでどこに泊るという当もありません。ここでこうして一夜を明すのも仕方ないと思っております。あなた方も野宿のお附合いはお気の毒ですね」