Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
多数の被害民とそこで別れを告げると、一行は少数の有志を従えて渡良瀬川を対岸へ越えた。梁田村をすぎて久野村へと入って来たが、谷の巡視を聴きつたえた村人が、なかばは好奇的な目差しでぞろぞろと後に従ってきた。なにかうわごとのようにブツブツ呟きつづける男もあれば、ぼろ一枚で肌にじかに赤ン坊を背負っている女もいた。途々、壁が落ち軒の傾いたあばら家に、老人が唯一人病み臥しているのを見舞ったりしつつ、一行は野田の森蔭の由緒ありげな農家に入って休憩した。
やがて縁側に腰かけて持参の弁当をつかいだしたが、その間にも付近の村人が庭いっぱいに集ってきて、自分たちの困苦のひとことでも聴いてもらいたいという顔付で彼等を見まもっていた。
突然、山田友次郎が青年らしい気負った動作で、村人たちの前へつかつかと歩み寄った。「諸君、まずこれを聞きたまえ」と懐から一片の紙切をとり出して、朗読をはじめた。去る十八日に議会へ送られた内務、農商務両大臣の答弁書である。山田はついで一段と声をあげて演説をはじめた。すると、川崎以来ずっと一行のあとをつけてきた巡査が、人々を掻きわけ佩剣を鳴らして走り寄った。