Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
「谷君に会いたい」と、思いつめたように洩らした。「谷君は万人が許す功臣である。また陛下の寵臣である。あの人の言を地方官の言より重しとするのは、なんの不思議もないことである」
津田は得心のいった顔付で深くうなずき、「なるほどそういうわけか。それで了解できた」
榎本は言外の機微を相手がどれほどの深さに解釈したか、おぼつかないという目差しだった。津田はそれにかまわず彼らしい気短かさで言葉を継ぎ、
「明朝、貴族院で谷さんと落ち合って、それから同道でお訪ねしよう」
「それでは午前九時に、貴族院の大臣室でお待ちしている。他の大臣たちが来ない前の方がよいと思う」
それをきくと津田は、万事わが方寸にありという顔でさっさと腰をあげた。榎本はなおも心もとないという趣でそれを見送ったが、急に自分も起って、
「一言いっておきたいことがある。だが、断じて他言は無用ですぞ」と、深刻な顔付だった。
「実をいうと私は被害地の実情を知らぬではない。いや、よく承知している。武揚愚なりといえども心眼は開いている。枉げて愚と成りすましておらねばならぬのには、容易ならぬ事情があるのである。怪しいのは地方官ばかりではないのだ。