Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
そういっても、雑貨屋のおやじは本気にしない。誰が嫁をもらうのか、嫁さんは何処の誰だといらぬ穿鑿するばかりでニヤニヤしている。誰でもない、わしの婚礼だ、嫁さんはあの籠のなかに待たしてあるというと、さすがにおやじもびっくり仰天していた。ハハハ……」
「嫌らしい、なんの話かと思ったら、つまらないこと……私はもう本当にさきへやすませて貰います」
かつ子が噛んですてるようにいって腰を浮かせるのを、「ちょっと待ちなさい」正造は手で圧えるまねをして引きとめた。「またといっても、ゆっくり話し合える機会などいつのことかわからない。今後お前はどうするつもりか、それを聞いておきたい」
自分は今後とも東奔西走の忙しいからだである。到底家をかえりみる暇はない。お前はお前で暮しの立つようにして貰わねばならぬというほどの言外の意味があった。
「ええ、それはもう覚悟しています。どうせあなたは阿弥陀さまより尻の落ちつかない人だと思っていますから」
かつ子は淋しげに頬をゆがめて微笑した。村道を隔てた向う側の杉や梅の木立のなかに古びた阿弥陀堂があり、本尊の阿弥陀像は一年を通して村中の家々を順ぐりに転々することになっているので、お堂のなかはいつも蜘蛛の巣だらけである。