Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
十数名がバラバラと大木の下で馬車を取り囲んだ。松方はさすがに狼狽はみせず、ただ短い頸を動かして馬車の中で大きな目をキョロキョロさせた。一木の子分が二頭の馬の轡をつかんで立ちはだかると、御者は呆気にとられて鞭を垂らした。警官が二名「暴行すると許さんぞ」叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)しながら走ってきたが、一同の気勢に圧されて、ただ怖しげに威厳をつくって佇んでいた。一木が大声をあげて馬車の扉に手をかけた。
「一鉱業人が大事か、二十里にわたる沃野、十万人の人民が大事か、われわれはそれを聞きにきた」
馬車のなかの松方は、唇に垂れさがった白い髯を動かしつつ、
「そのことなら、いずれあとで諸君に面会してお返事しよう。いまは出がけでゆっくり話もできない」
それをきくと山口と栗原が車の左右から、
「そんなその場のがれは承知できぬ。われわれは即答がききたい」
「あとで返事のできるものなら、この場でできぬはずはない」
一木はまた、そのよく響き透るこえで、
「大臣と命の交換などやりたくもないが、どこまでも鉱業人だけを庇護するなら止むをえない。われわれにもその覚悟がある」