Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
「いや、まちがいない」
正造は即座に、腹の底からひびきでる声で答えた。
「でも万一やりそこねたら……」
「いや、そこねぬ」
病気と疲労のために冬瓜のような艶のない顔のなかで、大きな目がギョロリと光った。左部にすれば、淵江村の演説が頭にこびり付いていて、正造が実に容易ならぬ言質を与えて、われと吾が身を窮地へ追いこんだように思われた。だが、正造の覚悟がそんな杞憂を遙かにのり越えているのを知って、黙りこんだ。なにか目の前の正造が、大きな巌が据ったように思われだした。
総代は十月一日の午前十一時に農商務省からさらに大臣邸へまわって、ようやく大石に面会した。大石は陳情をしずかに聴きとって「ただ被害地復旧などと簡単にいっても、巨額の費用がかかることで到底実行しうることでない。そんな漠然とした請願でなく、諸君は確とした理由を備えた請願をするがいい。そのときは私も諸君の望を貫徹させるために職を賭して努力する」と頼母しげに答えた。
「それに諸君の多数の上京は手続を誤ったものである。もし正当な順序を踏んで陳情するならば、内務大臣も必ず面会されるだろう」と、懇に諭すところがあった。