Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
鉱毒の件について、議会でなお訴えようとしてその機会を失ったことが一である。当局の責任ある答弁をきき得なかったことが二である。被害民たちに徒らに困窮をつづけさせねばならぬことがその三である。
そこへ島田三郎が、鼻の両わきに八の字の皺をよせた影深い表情で入ってきた。彼は正造を認めると真直ぐにかたわらへきて、
「きょうの鉱毒の演説には敬服しました。たいへん結構でした」
正造はニコリともせず瞼を開いたが、相手が島田だと認めると、目に親しみをたたえて、
「いや、いや、自分ではまだまだいい足りない、不十分だったと思っています。なにしろ時間の余裕がなかったので……解散になるのだったら、もっと存分にやるんでした。……いや、いや、あなたは例によってもっと忌憚ない批評をしてもらわねば」
「私の方の記者も感心して明日の議事余聞に書いたといっておりましたよ」
だが、田中はそれには無感動な様子で黙っていた。島田はさらに言葉を継いで、
「あれこそ言々肺腑から迸ったというのでしょう。いう人に誠実がなければああは人の胸を打つものでない。或は田中君は鉱毒問題を一身に背負う覚悟じゃないのか。