Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
とても言葉で表し尽せるものでない……」
正造の両眼は涙にうるんでいた。説明のために自らたかまった昂奮は、しばらくして一座が深い沈黙に落ちたのちも、容易にその胸を去らなかった。※(「虫+車」、第3水準1-91-55)の声が膝の下からしみでてくるように聴えていた。
「被害地では、この虫の音さえきくことができません。虫というものが一匹もいなくなった……」
正造は瞑目したまま独り言のようにいって、深い溜息を洩らした。
その夜は一泊することになって別室へ引きとったが、なお胸に去来する思いは絶えぬらしく、燈火のもとに端坐し筆墨をとって手紙を書きだした。
「本期議会は甚だ切迫せり。鉱毒問題の永遠に対し沿岸の死活は実に貴下等の御身にあり。倦まず撓まず終局迄の御責任その重き事筆舌に尽しがたし、一万三千人の長となり、二千余人の長たる幾回ぞ、五十余人を監獄に入れられて又長となり裁判を苦しめ、弁護士を苦しめ、父母妻子を苦しめたることまた枚挙すべからず。己にして心公平無私の志を貫き、前には免租六十八カ町村に渉り、予防工事を起さしめ、水源の内には漸く植付を為さしめたるは、其の功も亦少々ならず」