Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
前には養子もあったが今は行衛不明で、盲目ながらに人の米を舂いて、ようやく口を過しているという。
「お前さん、一人でさぞ淋しいでしょう。それに目が不自由では、どんなにかお困りでしょう。私どもと一緒に東京へ来なさらぬか、養老院というような処もあるし、こうしていなさるよりその方がよかろうと思うが」
潮田が穏かにすすめてみたが、盲人は気のすすまぬ顔付で、
「へい、御親切に有難う存じますが、やはり住みつけたところの方が安心で……」
と、見えぬ目で辺りを見まわすのだった。こんな土地でこんな境涯にいてもなお、郷土に対する執着を棄てきれないでいるのもいじらしかった。
この山口は以前百余戸あったものが、今はその半数、この二三年に廃戸になったものだけでも二十三戸を数え、死滅か離散か、いずれも哀話ならぬはないと、役場員の説明も声がうるんでいた。
北隣りの頼母子の部落で、心を打たれたのは松本勝造の一家だった。勝造は四十、女房のおくまは四十三で、二人の間に六人の子供、そのおくまが病み衰えて六十越した老婆としか見えず、傍に項垂れている勝造を息子かと見誤ったほどであった。
「これかね……これは、わたしの亭主なんです。