Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

しぼりだすような声をあげて、あとは咽び泣きだった。

どん底に呻吟する貧苦の種々相をみつづけてきた正造は、この時もはや堪え性がなくなったのか、両眼から大粒の涙をハラハラと降り落した。ぎゅっと結んでいた唇がうごいたかと思うと、

「よし、よし。この田中がきっと讐打ちしてあげますぞッ」

形相も凄じく拳を固めて、目の前の幻影を打擲するように振りまわした。

一行は、昼食のために、頼母子地内の松本英一の家へ案内された。松本は近郷にきこえた豪家で、原野、田畑、宅地を併せて九十三町余り、地租も以前は百円近く納めていたが、今は免租外だけだから十二円内外、これだけでも被害の程度が明かだった。収穫はようやく五分の一は入るが、小作人を二百人以上も使っているうえに、倒れかかっている全村の重味がなにかと一家へ寄りかかってくる。毎日々々夜が明けると十三円余りずつの損耗になる勘定で、貧家とはまた別な苦しみがある。それに自身は村の総代として、雪の葭谷をぬけて真夜半に帰ることもあれば、家にいて四五十人の客に応接することもあって、弱い体を押して運動をつづけていると、飯を喰うあいだも松本の鉱毒談であった。