Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
実際ただ将来を戒めるというだけのあんな決議じゃ、政府にとって痛くも痒くもないわけだ」
「わしもそうは思ったが、しかし上奏案になると穏かならぬ点があることにわしも気がついた。上奏して聖徳をおどろかし奉るというのは、まことにおそれ多い。それでなくても陛下は開会以来日々の議事について御軫念になっていられるということだ。その日その日の議会の模様を宿直の侍従から奏上させるにあるということだ。政府の責任はどこまでも糾弾すべし、しかしそれには立憲的な方法がある」
壮士風の男は正造の言葉に服して黙りこんでしまった。正造は袴の膝をおさえて立つと、床の間にころがしてあった日本刀を縁側へもってでて、スラリと鞘を払った。刀身に射翠がうつって目が覚めるようであった。
「どうだ。業物ということがわかるかね」
「銘は誰です」と無遠慮に手をだす相手へ、正造はただ切先をむけただけで懐紙をだしてしずかに拭いつつ、
「刀の鑑定ひとつでも、一日に十本ずつ怠らずやって十年でやっと正宗がわかるというくらいだ。選良連をみるがいい、なんの費目にも口をだす。だから無責任になる」
正造が鍔をならして刀を鞘におさめたのをしおに、客が席を立った。