Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
だから天災などというものはないわけのものだ。この理がわからずに被害民諸君は鉱毒も洪水もみな天災としてあきらめている。鉱毒は決して天災でない、古河市兵衛の我慾、即ち人為の害だ。水害もまた十八九年頃からの山林濫伐の結果だ。これはたとえ話だが、ここに心のごく弱い人があって寝小便たれの妻をもったとする。妻の方は少しばかり学問があるので、自分の寝小便を生れつきとし天災として夫に説く。夫は馬鹿野郎で、そうか天災ならば仕方ないと合点する。そのうちにこの妻に子供ができた。妻は自分の罪を幼い子に嫁して曰く、私は不思議と天災をまぬがれましたが、どうしたことか子供がまた私そっくりの天災で……と、夫はまたその言葉に欺かれて、とうとう寝小便が天災になってしまった」
奇抜な比喩に一座のものがクスクスと笑いだした。正造も自ら大口をあけて笑いかけたが、
「いや笑いごとでない。洪水も鉱毒もこの寝小便の天災のたぐいだ。役人や議員連中をこの才婦とすれば、沿岸の被害民はこの愚夫だ。天災だなどといって泣寝入りしていてはまさしくこの愚夫にも劣る。この愚夫の迷いからめざめさせ卑劣卑屈の人心を救うのは諸君たちの役目だ。