Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
Lesen Sie 火星兵団 (かせいへいだん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 307.889 Zeichen · 618 Bildschirme
「ああ、この黒い粉みたいなものは、何でしょう」
「わかったかね。それは火星塵だ。つまり、火星のまわりを、こまかい塵の層がつつんでいるのだ。それを火星塵の層といっているが、いまわれわれは、その塵の層のまん中に、はいったのだよ。だから、まっ暗なんだ」
「ああ、そうですか」
千二は、なんだか、たいへん心ぼそくなった。まっ暗な井戸の中へ、おちこんだような気がしたからである。
まっくらなんて、嫌なものである。大空艇の外は、なんにも見えない。
「さっきまで見えていた火星が、急に見えなくなるなんて、へんだなあ。火星に近づいたから、もっと見えなければならないわけだがなあ」
千二は、顔をしかめている。
「それはね、土けむりの中に、はいっていると向こうが見えないが、土けむりの外からだと、土けむりをとおして、向こうが見えるのと同じだよ」
「へえ、そうですか」
「だから、いまに火星塵を通りぬけると明かるくなる。火星の表面がはっきり見えるようになる」
「そうですかね」
と言っているうちに、あたりは急に明かるくなったような気がした。
「あっ、火星がまた見えだした。ああ、きれいだなあ」
千二は、驚きと喜びとが一しょになった。