Japanische Klassiker mit Furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Lesen Sie 照葉狂言 (てりはきょうげん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.730 Zeichen · 100 Bildschirme
「え、おい、胸でも突かれたら、おい貢、どうするつもりだ。気が短いや、うったぜ。乱暴な。どこだ、どこだ、むむ。」
「痛かあない、痛かあない。」
「む、泣くな、泣いちゃあ不可んぜ。ああ、何、袂ッ草を着けときゃあわけなしだ。」
と槍を落して、八口より袂の底を探らむとす。暖かき袖口もて頬の掠疵押えたりし小親声を掛けて、
「厭ですよ、そんな袂ッ草なんて汚いもの、不可ません。酷いことね。もう、灸のあとさえない児に、酷いっちゃあない。御覧なさい、こんなになったじゃありませんか。あら、あら、血が出て、どうしよう。」
国麿は仰ぎ見て、
「疵は深いかな。酷いかな。」
その太き眉を顰めたり。小親は月の影に透しながら、
「そんなじゃあないんだけれど、掠ったんでしょうけれど。」
「じゃあ、何、袂ッ草で治ッちまあ。」
再びその袂の中探らむとす。
「厭、そんな、そんなものを、この顔に附着けて可いもんですか。」
国麿は苦笑して、
「それじゃあそちらで可いようにするさ。ああ、驚いた。」
力なげに槍を拾うて立ちしが、
「貢、もう己あ邪魔あしない。堪忍してやらあ、案じるな。」
と、くるりと此方に背向けつつ、行懸けしが立ち返りて、円なる目に懸念の色あり。