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Japanische Klassiker mit Furigana

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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

Lesen Sie 照葉狂言 (てりはきょうげん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.730 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

ど、ど、どッという響、奥の方騒がしく、あれと言う声、叫ぶ声、魂消る声のたちまち起りて、俄にフッと止みたるが、一文字に門口より鞠のごとく躍り出で、白きもの空を駈けて、むかいなる屋根に上るとて、凄じき音させしは、家に飼いたる猫なりき。

とばかりありて、身を横さまに、格子戸にハタとあたりて、呻きつつ、片足踏出でてれる染をば、追い来し者ありて引捉え、恐しき声にて叱りたるが、引摺りて内に入りぬ。咄嗟の間に、われ警官の姿を見たり。慌てて引返す、小路のなかばに、小親走り来て手を取りつ。手を取られしままに、姉上の立ちたまえる広岡の戸口に行きぬ。

三人かくは立ならびしが、未だものいわむとする心も出でず。呆れて茫然と其方を見たる、楓の枝ゆらゆらと動きて、大男の姿あり。やがてはたと地に落ちて、土蜘蛛の縮むごとく、円くなりて踞りしが、またたく間に立つよとせし、矢のごとく駈け出して、曲り角にて見えずなりぬ。

頭巾をば掻取りたる、小親の目のふち紅かりき。

「貴女。」

声かくるに、心着きたまいけむ。はじめて顔を見合せたまいしが、姉上は、いともの静に、

「はい。」

とばかり答えたまう、この時格子の戸颯と開きぬ。