Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
動物にたいする憐愍の欠乏は勿論、仕えの女たちへのしばしばの乱行もそうなら、碗をもって酒食らうことも殆ど町方破落戸とえらぶところがなかった。彼のまことの母の春日野は、弟が引き取られると同時に行方が分らず、津の国で見た者がいるともいい、大和の宮司の家で見た者もいるといい、まちまちな噂であった。乱倫なもとの仕え女のなかでも、下の方にいた春日野は、邪魔者の手のかかる赤ん坊の始末がつくと、幾人かの男の手からこぼれてゆくように、津や大和にさまようて行ったのである。
定明は自分の生い立ちを知ることと、彼自身の放蕩無頼とはよく調和されているほど、反省も顧慮もしなかった。肉体にくいこんでいる母のあおぐろい血は、彼に何のわざわいを見せつけるのか、彼はひまさえあれば、北のやかたで飲酒にふけっていた。
「近頃、宮仕えの怠りが酷いぞ。」
経之は宿酔らしい弟の顔を見た。
「面白くない宮仕えをするなら、土民になり下った方が気が楽でござる。」
「勤めはやめる気か。」
「その日まかせにござる。」
「それでは我が家にもとどまらぬつもりでいるのか。」
「もとより。」
「よくも、ぬけぬけと囈言を続けた。