Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme
どこやらしず心がかえって来たのかしら(いい意味でよ)。もしそうだとすれば、うれしいことね。そして、そのよって来るところの意味で、あなたもやっぱり御満足でないこともないでしょう?
きょうは些か閑暇ありですから、すこし詩集の話をいたします。あした、あさって、おいそがしいけれど、きっとこれはその後のすこしのくつろぎのとき着くでしょう。詩集とは別だけれども、きのうそんな心持で、夜もずっとその心持がつづいて、胸が余り優しくきつくしめられて、何だかまばたきしても、それがこたえる有様でした。だって、私がまばたきをすれば睫毛はめのなかにある輝いた顔の面をあんなにさわるのですもの。さわる感じが全身をはしるのですもの。電車のところに立っているとき、後を誰か、すと掠めて羽織のそとを掠めたら身ぶるいがしました。若葉の風というものはこんなにしみるものなの? こんなに枝もたわわなものであったのね。新緑の上に鯉幟が見えます。
詩集のなかに「五月の挨拶は」というの、覚えていらっしゃるでしょうか。大変この頃の情景にふさわしい爽やかな、しかも生命にみちた詩句です。「五月の挨拶は 若き樫の梢 みどりの小旗をかかげ」