Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme

Aozora Bunko

面白いわねえ、私たちには何とどっさりのことがかくされて体裁をつくろわれて在ることでしょう、そのこと考えると、可笑しいやら妙なやら。健康のこと、結婚話がきまってから証明書のようなものを貰ったそうです、お母さんのお話。見たところも日やけ酒やけしているが、達ちゃんごく丈夫そうですからいいでしょう。

昨夜は富ちゃんとすっかり話してね。ここの家へ来て座敷へ通ったら紫檀の卓の上に、まるで七八十歳の爺さんでもいじりそうな、ろくでもない小さい茶道具がずらりと並べてあってね、私は何とも云えず物哀れを感じました。だって、昼間は土まびれで火薬だ土方だと、巻ゲートルで働いていて、うちへかえれば母と小さい妹とだけで、そしてこんな古道具屋のまねみたいなことしているのかと思ったら本当に哀れになってしまった。富ちゃんの気持もずっと二半でいたらしいのです、この頃は。

でも、この家の人たちの気分というものもなかなか一つあります。何というのかしら、小父さんがずっとああいう生活で、まともな道を日々ちゃんちゃんと踏んで生活して来ていないから、こういうことに対する一同の態度も、どこやら自主的にテキパキしないで、一つの力が常に家庭に欠けている。