Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme
そして、私は何となくすこしニヤニヤもするの。だって、時々こうしてあなたが私に雷をお落しになるの、万更あなたのためにわるいばかりでもないでしょうと思って。それは、そのときは島田言葉の所謂「歯痒い」わけですが。お父さんの所謂「卑怯未練な」(これ覚えていらっしゃる? お母さんが手袋を一寸見えなくしておさがしになったとき、お父さんが床の上に坐っていらして、「ええい、卑怯未練な」と仰云ったので、私が大笑いしてさがして、「ホラ卑怯未練がみつかった、みつかった」と笑ったの)次第でしょうが。家庭の情景というもののなかにはいろいろ滑稽な面白い要素もあるもので、その意味で私が雷おとされるのも、うちらしくて至極結構です。あなたも、たしかに女房というものをもっているようなカンシャクもおこせて、悪いばかりではないわ。誰が、私のあんな他愛のないベソ顔を見る光栄を有するでしょう(!)何から何まで絵でかいたように完備した女房なんて、叱ることもなくなって、きっとあなたは退屈よ、「バカだなア」という表現にはそう云える対手にしか流露しない親密さがこもって居ります。そして、そういう人の心も、そういうとき独特のゆたかさがあるのよ。