Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme

Aozora Bunko

私は声に出して云うの、「ああ、しっかりつかまえて頂戴、しっかりおさえて頂戴」と。稲妻がはためいている。こういう夜も私たちの一生のうちにあるのかと、そう思って雨のふきつける音をきいています。

憤りの感情について考えます。怒りは素朴なところがありますね。或意味ではよろこびに転じる一番近い感情とも云える、それは手答えのある感情の動きですから。対手を対手として見る上での感情ですから。

悲しさという感情について考えます。これもそこには涙の溢れる余地があって、涙の中にある和らぎが予想されます。

この絶望ではない沮喪の感覚は何と表現したらいいのでしょうね。

静かな深い深い惨酷は何と音もなく、而も思いかえす余地もなく惨酷でしょう。

今年の初めに、初めて同じような沮喪の感覚を学びました、その折のことはちっとも話しませんでしたね。それはこんな会話なの。「××ちゃん、あれがかえって心変りしたとき困るから余り世話にならんことで。こっちから世話にならんことで。」

笑って床に入ったけれども、非常に思いがけない言葉でしたから、その言葉は耳の中から消えないのよ。夜が明るくなる迄おきていました。