Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.044 Zeichen · 575 Bildschirme

Aozora Bunko

「濃い晩秋の夜の霧に」という題の覚えていらっしゃるでしょう? 遠い野末に見ゆる灯かげという句のある。そして、女主人公が、その野霧が次第にうっすりとする街へかえりながら、自分が不器用で、才覚なしだったものだから、のぞみのよこをただとおってしまったことについてのこりおしく思って歩いている心持をうたった詩。平凡のようだけれど、真情からうたわれている詩。あれだって、ちっとも寒さとして描かれていないし。「ああ、この冬は春の如く」は勿論のことですし。冬のさむさに凍らないあたたかい詩はいい心持ね。あたたかく、丁度程よく心をしめつける詩の風情の味いふかさ。

でもね、私はこうして詩のいろいろの味いを思い浮べると、小説のこと思わずにいられなくなります。いつかも書いたようなテーマの展開の素晴らしさを。

私には大変詩がいるのよ。

おっしゃっていた小さい岩波の本近く手に入りますの、そしたらすぐよみましょうね。金曜日まで、まだ当分ね。火、金というのはなかなか間があるのね。今夜はこれからお風呂に入り、眠ります、早いけれど。そして、あした朝早くめをさまし、よ。ではね。

十二月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(第十回龍子個展より「真珠潭」