Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
国府津のあの芝の庭覚えていらっしゃるでしょう? 父のなくなったあとは、内輪のことで世話になったのよ、いろいろと。一通りというつき合いではなかったから、ともかく仕事をすまして、それから夕飯の仕度をしてたべて片づけてお客に会って、お湯を浴びて黒い服装になって、そして十一時ごろ家を出ておじぎをして一時ごろかえりました。この頃はお通夜と云えば、本当に夜どおしかさもなければ十一時限りぐらい。乗物がありません、夜なかにたべさせるものがなかなかない。ですからよ。
六十四歳でした。結婚前からの結核で、それを実によくもたせて子供も六七人いるし、その子供たちも別状ないし仕事もして、六十歳を越したのですからよく生活したという方です。派手な性格で、文筆的なところもあって、夫妻で句集なんか出したりしました。二十五年記念に、結婚の。私は子供のときから知っていますから。でも昨夜は何だかすこし妙な気がしました。あれはどういうのかしら。何だか余りサバサバ片づきすぎ手まわしよすぎ、要領がよすぎて薄情っぽい空気でした、万端のとりさばきかたが、ね。故人の周囲に情愛がめぐっていないのよ。