Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

だから「新しい年の――」に特に多くなったりしているのね。でも、もうおやめにいたしましょう。すらっと書いたものには「思う」なんか特別どっさりはありはしないのです、生活と本にしたって。

あの省吾という叔父のことはいつかもうすこし書いてみたいと思います。私の幼女時代に一番強烈な印象を与えた人の一人ですから。このひとの死が、初めて私につよい衝動を与えた記憶もまざまざとしています。このひとの亡くなったときは私は小学の一年ぐらいだったかしら。青山まで雨の中を俥で行って長くて眠たかった覚えがあります。

本当にあっちはもう雪ね。雨と雪とが毎日降ります。そして、十二月一杯曇天つづきで(十月下旬から)一月に入ると厳寒で却って白雪はキラキラ燦いた青空になるのよ。午後三時ごろにはもう電燈がついて。ガローシの底でキシキシいう雪の音を思い出します。馬の毛の汗がすっかり霜になって白くなっているのを思い出します。雪の街独特な一種のなつかしい生活慾をそそられる冬の匂いを思い出します。私は雪のああいう景色や気分が実にすきよ。白樺薪の煙は実に黒くて、その煙が雪につつまれた昔風な塗色の建物の並んだところから空へと勢よく立ちのぼっているところも、親愛よ。