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Japanische Klassiker mit Furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme

Aozora Bunko

狐の啼く声が遠くきこえた。

「狐にだまされたのかな」と、千枝松はかんがえた。さもなければ盗人にさらわれたのである。藻のような美しい乙女が日暮れて一人歩きをするというのは、自分から求めて盗人の網に入るようなものである。千枝松はぞっとした。

狐か、盗人か、千枝松もその判断に迷っているうちに、ふとかの陶器師のことが胸に泛かんできた。あの婆め、とうとう藻をそそのかして江口とやらへ誘い出したのではあるまいかと、彼は急に跳りあがって又一散に駈け出した。藻の門の柿の木を見た頃には、彼はもう疲れて歩かれなくなった。

「藻よ。戻ったか」

垣の外から声をかけると、今度はすぐに行綱の返事がきこえた。今夜は娘の帰りが遅いので、自分も案じている。おまえは途中で逢わなかったかと言った。千枝松は自分も逢わなかったと口早に答えて、すぐに隣りの陶器師の戸をあらく叩いた。

「また天狗のいたずら者が来おったそうな」

内では翁の笑う声がきこえた。千枝松は急いて呶鳴った。

「天狗でない。千枝まじゃ」

「千枝まが今頃なにしに来た」と、今度は婆が叱るように訊いた。

「婆に逢いたい。あけてくれ」

「日が暮れてからうるさい。