Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
「玉藻はどうじゃ」
「わたくしにも成りませぬ」と、玉藻は面はゆげに答えた。
「玉藻の御にも成らぬほどのもの、わたくしどもにどうして成りましょうぞ」と、堀川はあぐね果てたように言った。
「玉藻にならぬとて、お身たちにならぬとも限るまいに、そりゃ卑怯じゃぞ」と、忠通はまた笑った。
しかし忠通の心の奥にはつつみ切れない満足と誇りとが忍んでいた。この女たちはみな玉藻よりも先輩で、早くから才名を知られている者どもである。したがって、玉藻に対する一種の妬みから、今日まで余り打ち解けて彼女と交わる者はなかった。それが玉藻の雨乞い以来、殊に今度いよいよ采女に召さるることに決定してから、誰も彼も争って彼女の影を慕い寄って来る。勢いに付くが世の習いとは承知していながら、忠通は決してかれらを卑しむ心にはなれなかった。彼は努めてそれを善意に解釈して、あらゆる才女もいよいよ我を折って、玉藻の裳をささげに来たものと認めようとしていた。その意味から、今夜の歌の莚も玉藻を主人として催させたものであったが、どの女房たちも遅滞なしに集まって来て、いずれも年の若い玉藻に敬意を表しているのを見ると、忠通はこの頃におぼえない愉快と満足とを感じた。