Japanische Klassiker mit Furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lesen Sie 玉藻の前 (たまものまえ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.703 Zeichen · 261 Bildschirme
「ほう、身にあまる望みとか。これはいよいよむずかしゅう見ゆるぞ。兼輔ひとりの力に及ばずば、頼長も共どもに助力してお身が恋をかなえてやりたい。相手は誰じゃ。明かされぬか」
「お身さまの前では申し上げられませぬ」と、玉藻は藤紫の小袿の袖で切ない胸をかかえるように俯向いた。嵐は桜の梢をゆすって通った。
「予が前では言われぬか。頼長は兼輔ほどに頼もしい男でないと見積もられたか。さりとは心外じゃ」と、頼長はいよいよ興にふけったように高く笑った。
藤むらさきの袖の蔭から白い顔はまた現われた。彼女は媚びるように低くささやいた。
「頼もしいと見らるるも、頼もしからぬと見らるるも、お身さまのお心一つでござりまする」
「はて、謎なぞのようなことは言わぬものじゃ。いかようにすれば頼長は世に頼もしい男とならるるのじゃ。打ち付けに言え、あらわに申せ」
「申しましょうか」と、玉藻はすこしためらう風情を見せたが、やがて思い切ったように言った。「関白の殿のおん身内、才学は世にかくれのない御仁……。桜さくらの仇めいて艶なるなかに、梨の花のように白う清げに見ゆるおん方……。もうその上は申されぬ。