Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひゃくあしちがい

百足ちがい

山本 周五郎

Lesen Sie 百足ちがい (ひゃくあしちがい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.491 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

彼の本心としては逃げを打ったのであるが、そんなことではぐらかされる相手ではなかった。膝詰めである、うっかりすれば腋の下を擽りかねない。こういう点にかけては、由来、男は女性の敵ではないのである。というしだいで、又四郎はやがて自分の生立について、みつ枝の満足するまで話さなければならなかった。

彼の父は秋成又左衛門といって、身分は寄合、運上所元締をしていた。又四郎は父が四十歳のとき生れた一人息子である。又左衛門は稀にみる性急な人で、「せかちぼ」という綽名があった。せっかちん坊というのを縮めたものであって、畢竟するに綽名まで縮められるくらいせっかちだったわけで、そのために種々と失敗をやり後悔することが多かった。

――これではいかん、絶対にいかん。

又左衛門は又四郎が生れたときに、その赤児の寝顔を眺めながら考えた。

――伜だけは沈着な人間に育てよう。

気のながい、寧ろぐずなくらいな乳母を捜して与え、五歳になると早速、太虚寺という禅寺へ預けた。といっても坊主にするつもりではない、寺の住持の雪海和尚に養育を頼んだわけである。

和尚はそのとき六十七くらいで、信じられないくらい肥満し、いつも酒の匂いをぷんぷんさせていた。