Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
菓子職人においてこれを観ますと、材料の扱い方が実に粗末で、パン職人の如きはちょっとした焼き損いや不出来なものは、自らの失敗をおおわんがために燃してしまうのであります。料理人は主人のものという頭が働いているからでありましょうが、これは誠に悪い傾向であります。私はこのような悪傾向は何とかして一掃したいと考え、絶えず注意を怠らずに居たのであります。昔は我が国でも物を大切にするよい習慣がありまして、米一粒でも粗末にすると仏罰が当るといってやかましく戒めて居たのでありますが、近頃ではかような立派な考えは全く地を払った様であります。
また西洋人は経済思想が発達して居りまして、よくものを大切にしこれを利用することを研究します。日本料理などでは、良い部分だけを用いて他は棄ててしまいますが、西洋では骨も筋も少しも捨てず脳味噌までも利用致します。日本古来の戒めは物に対する感謝からであり、西洋のは経済思想の発達からでありますが、現代の日本人にとっては、ともに採って以て範とすべき美点と考えます。私の店で数年前雇入れたロシヤ人のチョコレート技師は、この点実に見上げたものでありまして、ほとんど紙一枚、釘一本といえども粗末にしない。