Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
雪風の寒い日にも火一つない土間にぶるぶる慄えながら印袢天一枚で一時間も待たされては実にやりきれません。これは私どもの忍耐の足りないところと致しましても、そのために他のお得意廻りが遅れて、よそ様へ不都合になり、その上店に帰ると御主人からはちと手間が取れ過ぎるとお叱りを蒙ることとなります。実にこんな時は頭の中がムシャクシャして、狂人のようになることがございます。また支払日など弁当持参で半日以上もお屋敷一軒のために費さなければ御勘定が頂けないのです。そういう時も他の掛取りが時間が後れて取れないため、私どもが途中で油を売っていたかのように御主人から誤解されたこともたびたびありましたが、たいがい事情は右の通りでございますので、自然あのお屋敷に上ることを好まないようになったのでございます、と、自分はこの事実を聞き取った翌日より、断然この屋敷への出入を中止した。
これはその家に出入りする商人のすべてが異口同音にこぼしていることであるが、得意を一軒失う悲しさにいやいやながら皆出入しているのであった。
お得意がかく身勝手にして傲慢の風あるは畢竟東京の商人の卑屈さに原因するのであって、商人それ自身の罪である。