Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
主人ももちろんこれは感づいていまして、それゆえなおさら高給ということを致しません。品物をぬかれるものとむしろはじめから見込んでおくのであります。これでは職人も悪いと思いながらも、ますます盗み出しの必要を感ずるということになります。無論かような対立的の態度でありますから、仕事の成績はよろしくなるはずはありません。
この事情に関して少々手前味噌のようにも聞えますが、私が実地経験致しましたことを御参考に申上げます。私の所は最初パン屋でありましたので、今日でも中村パン店と呼ぶ方が少なくないのでありますが、パン一種の製造のみでは、夏は非常に忙しくなりますが、冬になるとひま過ぎて困りましたところより、何か冬売れるものをと物色しまして、日本菓子を併せて製造販売致そうと思い立ち、これを始めましたのが今より三十年前であります。さて菓子職人を雇入れて見ますと、以上申せし如き悪習慣がきわめて多いので何とか改良すべきだと考えまして、当時東京で第一流店主人に話して、職人の給金を増して、盗みぐせを止めさせるようにしてはと相談しましたところ、その主人の答には、彼等の盗みぐせは、菓子職人社会の何百年来の習慣であって、いまさらそういうことをしてみたところで改まるものではない。