Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのかったいぬ
私の飼った犬
斉藤 弘吉
Lesen Sie 私の飼った犬 (わたしのかったいぬ) von 斉藤 弘吉 (さいとうひろきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.083 Zeichen · 16 Bildschirme
ところが翌朝、H夫人から電話で昨夜“松”が逃げてしまったと知らせがありました。驚いてH家にかけつけました。“松”はときどきH家に帰ってきては玄関をのぞき、庭に回っては座敷をのぞき、H氏夫妻が“松”と呼ぶと逃げてしまうというのです。“松”は私たちが訪ねてきてないかと見に来るのだとわかりましたので、私は“松”に、私がここに来ていることを知らせようと思って、玄関の前に私のゲタを並べ、その上に“松”の好きな煮干しを置きました。一時間ばかりすると、お手伝いさんが「煮干しがありません」というので、私が玄関に出て大声で“松”と呼ぶと、門のそばの電柱とゴミ箱の陰から“松”がとび出し抱きついてきました。どうにもかわいそうで、一応“松”を引き取って帰宅しました。
その後H氏が世田谷代田に移られ、私もその一軒置いて隣に家を建てました。もう“松”が道に迷う心配もないのでH氏夫妻の希望どおりお返ししました。ところが“松”は毎朝食事がすんで解放されると、すぐ私の家にきてしまうのです。そのころは仲の悪かった秋田犬メスの“蕗”も死んで、いませんでしたので、大いばりで家内に甘えるのです。