Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「じつはの……」
正成はしばらく措いた。心の奥から妹夫婦の揃った姿を、しげしげと今、見るふうだった。
「わしは明日出陣するが」
「はっ」
「ついては、治郎左。こよいのうちに命じておく。そちは残れ」
「えっ?」
「いまここで具足を解くがよい。そして元の武門の外の芸能者、雨露次に返ることをわしからすすめる。……卯木にも異存はないはず。夫婦して、よう行くすえを話しおうて、これからの世を歩むがいい」
「な、なにを仰せかとおもえば……。この元成へ、あとに残って、ほかの道を歩めとは」
「激すな。……治郎左。……観世丸もああして無心な育ちをすくすくとしておるではないか。つねにはなかなか思うても口には出ぬ。が、いまはと正成が申すことだ」
「おことばですが、御出陣の列から洩れるなどは、この期において心外です! 余りといえば心外にござりまする」
と、元成は身を俯伏せてさけび、卯木も顔を袖にかくして泣き伏した。
「なぜ!」
と、正成はきびしく。
「治郎左、なぜ心外なのか」
「でも、元成とて、命を惜しむ卑怯者ではございません。そう見られるのは、口惜しゅうございまする」
「命を惜しむことがなぜわるい。