Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「眠れ」
と、諸所の屯を、部将の声が通って行った。――青葉のあいだに、やっと、水っぽい二十日月が顔を出している。
が、正成はなお、楯の上にあぐらして、いま駅門に馬をつないだ和田助家と楠木弥四郎の報告をうけていた。大鎧は脱いで、うしろに置き、そこにはまた、童武者の蔦王が、居眠っていた。
「そうか。……まずそうあろうかとは、思われたが」
正成は、一語、そう呟いたきりだった。――この助家は住吉にとどまって、なお執拗に、紀州の切目ノ法橋との連絡をもちつづけ、田辺水軍の来援をうながしていたのだが、それも今は、絶望のほかなしという今夜の結論だったのである。
「休むがいい。そしてもう、住吉にも戻るにはおよばん」
すぐ、入れかわりに。
「兵全員の軍簿が調べあがりましたが」
と、安間了現が、簿冊を手に、入って来た。
「どれ」
と、正成は手にとって。
「正季のつれて来た後陣の者とあわせて、兵数、すべてで一千一百七十四名か」
「意外に少のうござりまするが」
「このうち、病人、不具者などは、おるまいな」
「三名の病人と、足跛え、片目の者など不具者十一、二名がおりまする」
「なぜ、はぶかぬ」