Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
ちょうど、それはいま、明石海峡をひがしへ出離れ、一ノ谷、須磨の沖あいあたりで、一せいに、いかりを下ろしているらしくおもわれる。
とくにまた、こよいの足利軍は、示威的な意図もあってその一船一船には、篝火の数のかぎりを焚かせていた。その景観の状は、
「梅松論」に、
艫、舳、
ともす篝火は、
浪を焼くかとぞ
見えて赤し
とあるその通りであったことだろう。そしてなお、
明二十五日
兵庫合戦のお心じたくあり
御談合の事共
海と陸とにかけて、
夜中
御使の往復
たびたびに及ぶ
ともある、その使者舟の影も、沖と岸とのあいだを、火の紐のように、もう往返しだしているのが、眺められる。
うたがいもなく、すでに足利直義の陸上軍も、大蔵谷のあたりまでは来て、その行軍を、ひしめき、ひしめき、駐めていたにちがいない。――要するに足利勢の海陸幾万は、
「いつでも」
と、はやこれへ挑んでいるとしていい態勢だった。
義貞は、元の座へもどった。そして燭を運んできた社家の者に、酒をさいそくしていた。ふたりの前には、まもなく、酒瓶と折敷が供えられた。
「河内どの。折からこよいの二人には、よい肴ではあるまいか。平家のむかしと聞く千僧供養とやらの燈籠を見るよりはまだ美しい沖の景物。