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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「それとて、気づかいはない。敵の船手のうごき次第で、こなたも臨機自由に、騎馬隊をいずこへでも馳せ向わす。わが騎馬隊は、関東武者のほこり。連戦の疲れはあれ、まだまだ、尊氏ずれに辟易するようなわが麾下ではおざらぬよ」

そのとき、外のほうで、

「オオ見える! 見えてきた」

「足利の水軍が!」

「ああ、あれか!」

と、口々に騒めく兵の声があらしのようにわき揚ッていた。

「……来ましたな」

「そうらしい」

ふたりは顔を見合せた。

義貞がさきに立ち、つづいて正成も席を立った。

そして廊の角にたたずんだ。――すでに宵。青ぐろい斑雲のすきまが星を打ち出している。

摩耶、ひよどり越え、高取山、栂尾山、すべての山勢が並び立った下の野や丘や幾筋もの河口に、遠く近く、わびしい民家が散在して見え、長い曲浦の線がうねうねと白い。

「…………」

が、それらの事物は、或る一焦点を、あきらかにさせる巨大な額縁としてあるにすぎない。

義貞は息をのむ。正成も凝視のままだった。ふたりの間には声もなかった……。

なるほど、足利方で数千ぞうと称えているのも誇大ではない。じつに、おびただしい船かずである。