Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
……そちたちが、生きてすることはなお果てなく多かろう。落ちてくれい。さあれ、途中の難もはかり知れぬが、生きるかぎり生きのびて、ふるさとの後図のために余生を尽せ」
「…………」
「命じる!」
次の一喝に、人々は耳を打たれた。正成の声とも思われぬほどそれは大きな音声だった。
「敵の大軍は、まもなくここの部落へ乱れ込もう。落ちてゆく道は谷ぶところより山を這うて布引ノ滝へ出る一路しかあるまいぞ。はやく出ろ、ここを去れッ。正成の最期をさまたげるな。正成に心しずかな死を遂げさせい」
なお、何かさけび、なおまだ、死の執念に膠着して、うごきもしない者たちへ、
「ならんッ」
と、正季もまた、どなった。
「おいいつけに反くか。おことばは軍令だ。以上、お名ざしの面々は、寸時もここにいてはならん。ご最期のさまたげをするな。さ、出ろ出ろ」
と、押し出すように大床の外へ追いやった。
一瞬は、生木の裂かれるような声々だった。しかし、うむをいわせず、堂外へ追いやられた“除外組”の二十余人も、やがては観念して物見についたことらしい。ほどなく裏手の崖から屋根ごしに、大声で内へ急を告げているのが聞えた。