Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
「と、とんでもない。ほんの座興で、決して弄り物などに致した訳ではございません。どうか御勘弁を」
門弟たちは首をすくめて逃げだした。椙江は苦笑しながら見送っていたが、
「又平――」
と振返って、
「おまえ、門人衆のつまらぬ冗談にかかわり合ってはいけません」
「へい」
「あの人たちはおまえをからかっているのです。何を言っても知らぬ顔をしておいで。分かりましたね」
「へい有難うございます」
又平はぺこりとお辞儀をしたが、
「けれどお嬢さま、本当のところを申しますと、からかっていたのはわたしの方でございますよ。えっへっへへへへ」
「何ですって――?」
しかし又平はさっさと立去って行った。椙江は呆れて、しばらくその後ろ姿を見送っていた、――あれほど弄り物にされていながら、「からかったのは自分の方だ」とは、本当に底抜けの馬鹿であろうか?……それとも。
「それとも、何か仔細があるのかしら」
椙江はそっと呟いた。
又平がこの家へ奉公に来たのは一年ほど前のことである。人入れ業「島田屋宗兵衛」の世話で、在方の百姓の三男ということであったが、人品卑しからず、働くことも三人前は働くのに、言うことやすることが人並み外れで、門人たちは常によい慰み物にしていた。